あいしてるのブログ

この物語はフィクションです

「銀杏BOYZ 日本の銀杏好きの集まり」感想

今日のために生きてきたと思う。

 

夢みたいなライブが終わって、突然現実に投げ出されて、他の情報を頭のなかに入れたくなくって、はやる気持ちで夏の蒸し暑い夜を駆けた。

 

かつて峯田和伸は泣き虫で甘ったれで愛されたがりなわたしの神さまだった。XXXは全員死んでしまえばいいと思っていたわたしを唯一、許容してくれる人だった。何十年と生きているくせに童貞少年のピュアなところを持っていて、いつでも自分の愛や恋や性についてロマンチックに歌い上げる。夢や平和やつまらないと嘲笑されるワードを本気で信じているところも、そのストレートな愚直さで斜に構えた人間の態度をねじ伏せるところも、何も変わらない。彼のむきだしで個人的な音楽はそのまま、峯田和伸の一部分を構成しているピースなんだ。

 

「人間」を熱唱しながらステージへのぼる、生きている峯田和伸は幻想みたいで、10秒もたたずに心が反応して、あふれる感情に言葉を当てはめる前に涙が頬を伝った。生きていると時折、言葉をつむぐことがなんの意味も持たない瞬間に出会う。それでも人間が文字を学ぶことに意味があるとすればそれは未来の自分に今日のこの瞬間を思い出させて明日1日を生き延びさせるためだ。

 

XXもXXもXXもXXも全部許すから、明日1日を生き延びてくれと峯田は言った、そうしたらまた会えるからと言った。この世はクソだし生きづらい世界は全く変わらないし、苦しさも痛みも消えないけれど、明日を生きれば、真っ黒な世界に光を差し込んでくれる奇跡に出会う。サンプラザを出るとまんまるな満月が見えた。

 

いつだって大事に丁寧に抱きしめてくれてありがとう。