あいしてるのブログ

この物語はフィクションです

さよなら2017、はじめまして2018

 

さようなら2017年。今年はどんな一年だった?

閉塞と希望の一年だった。

 

学生という青春が終わり、憂鬱の箱に詰め込まれる社会人になった。私は何もできなかった。信じられないくらい役立たずで覚えが悪かった。私は頭でっかちで根性なしのつまらない人間だった。

 

職場には魅力的な人が多かった。一点に秀でていたり、地道に努力ができたり、誰とでも気軽に気楽に話せたりした。私には絶対できないことが、みんなにはふつうにできる。その差が多すぎて、大きすぎて、いくら頑張っても手が届かないように思えた。だけど同時に、それは努力ができない私の退屈な言い訳にすぎないのだとも思った。死ぬほど憧れて、それからやっぱり嫉妬して、最後には落ち込んだ。

 

私の持っている能力ではどうにもならないことばかりだった。精神がぐらつく度、同じところをぐるぐるして、ごねたり泣いたり諦めたりして結局、肥大化し続けていたプライドを過去に投げ捨てた。毎日、その繰り返しだった。一日がとても長かった。暗い顔をして会社に行き、唇を歪めて愚痴を垂れ流すような人間だけにはならないと思っていたのに、いつの間にかそんな人の気持ちが痛いほどよくわかるようになった。

 

感情を殺さなければ、うまく生きていけないのだと思った。PDCAサイクルを繰り返すたび、生産性や効率化を叫ばれるたび、愛している私のかけらが死んでいくのが分かった。

 

自分を変えたくなかった。変わっていくことがおそろしかった。だから仕事が終わって家に帰ったら、アルコールとため息の代わりに物語を書いた。物語の中で、私は私を傷つけるすべてのものと戦い、実体のない敵をこてんぱんにやっつけたかった。キーボードをつよく叩いている間だけは、背後に迫る恐怖から逃げられるような気がした。

 

物語のことをもっと知りたくて、シナリオセンターというところに通い始めた。私と同じように物語が好きでたまらない人ばかりだった。そこには共感と理解があふれていた。生まれて初めて言葉が通じたみたいな奇跡が、嬉しくてたまらなかった。中には私の書いたものを褒めてくれる人もいた。面と向かっておもしろいねと言われたのは初めてで、そのたった6文字だけで救われて、指が小刻みに震えた。15つの物語をつくって、その内の2つを文学賞に投稿し、もう2つは文学フリマで販売した。

 

ここが通過地点ならどんなにいいだろうと思う。ものになるかは分からなくても、光の方だけを目指して、無我夢中で走りつづけたい。神さま、どうか今だけは、この夢を終わらせないで。嗚呼、いつか、誰の手にも届かないところで、たった一人光りつづける孤独な星になれますように。

 

仕事はやっぱり辛くて、物語と戯れることもやっぱり楽しい。

 

その中でも、沢山のひとに出会って、知らなかった思想に触れた。ひとに甘やかされて、傷つけて、憧れて、痛めつけられて、がっかりして、無視されて、煽られて、振り払われて、それでも懲りずに好きだと思った。

 

私には自分以外の他人を大切にする方法がよくわからない。それでも、不器用でも、下手くそでもいいから、愛されるだけじゃなくて、ひとを愛してみたいと思った。ひとはずるくて、みっともなくて、だけどやっぱりかわいくて、恋をせずにはいられない。

 

たとえゴミ箱みたいに蹴飛ばされても、私はあなたのことが好き。

 

雪の降る夜が明けたらまた新しい年がやってくる。来年はどんな一年にしようか。大凶だって超大吉にしてみせるよ。感情の波みたいに、何処へ向かうか分からない、この起伏ある人生を愛してる。

 

初めまして、2018年。

こんな私だけど、これからもよろしくね。

 

 

 

2017年の「あいしてる」

 

【映画】

・「あゝ、荒野

・「わたしたち」

・「お嬢さん」

・「彼女がその名を知らない鳥たち

・「勝手にふるえてろ

・「夜空はいつでも最高密度の青色だ」

 

【漫画】

阿部共実「月曜日の友達」

山本さほ岡崎に捧ぐ

・町田翠「ようことよしなに」

椎名うみ青野くんに触りたいから死にたい」 

紺野キタ「Lily lily Rose」

 

【演劇、美術、音楽】

・ままごと「わたしの星」

・長島友里枝「そしてひとつまみの皮肉と、愛を少々。」

銀杏BOYZ「日本の銀杏好きの集まり」