あいしてるのブログ

この物語はフィクションです

酸欠金曜日のポエトリー

 

「日常」


いくらコンサータ飲んだって成長なんてひとつもしないまま季節だけがあっけなく過ぎて行くような繰り返しの日々に擦り切れていくのがわかる、どうして好きなことばかりで生きてゆけないのかなわたしたち、120%の力を注いだってふつうになれない絶望をあなたは知っていますか、鮮明な視界、重力のある世界、誰かの命令で動くロボットだけにはなりたくないんだ、苦手なことが99個あったって残りの1個で誰よりも突き抜けてみたい、何にもできないわたしをどうか許して

 

「アダムのりんご」


道路側においで席は奥にどうぞあっお金大丈夫です、何もかもに慣れなくてその手を払いたくなってしまう、男の人と女の人はやっぱり何処か違うんですね、あのね聞きたかったことがあるのそんなにやさしい笑顔で笑うのは女の人の価値が高い頃だけですか、退屈な女の人になってしまったらわたしはあなたのゴミ箱になるのですか、夢が見られなくなるまで幻滅するのはこわい、傷つけられるほど近寄るのはこわい、見上げなきゃキスができない背丈や耳を済まさなきゃ聞こえないアルトさわっても硬いままの肉体がこわい、卑屈なままのわたしはたぶん未知のあなたを何も知らない

 

「いびつ」


希望も絶望も紙一重で感情が揺りきれるほど生きてるって思える、ぎりぎりに追い詰められてがたがたに凹凸つくって閉鎖病棟に囲われる13歳の女の子になりたい、ごめんね金属バット頭の上に振り下ろしていいよ、一生青春につかっていたいのに大人みたいになってしまってねえ信じられるかな、いびつなくらいが丁度よくてふつうなんて簡単に犠牲にしてしまえるほどの身軽さ

 

「きみの知らない」


愛してるの花束をあげるきみのこと好きすぎるかもなんて浮かれた勘違いをしてみたい、安定した安らぎなんて何処にも見出せないまま季節がいつのまにか終わるのは嫌なんだ、もう一度だけ終電間際の改札の前でキスを交わそう世界でいちばんの恋人同士みたいにさ、寒そうにわたしを待っているきみ鼻を赤くしてジト目でわたしを見るきみ結局わたしのわがままを笑って許してくれるきみの横顔見てるとねなんだか泣きそうになってしまうよ、観覧車のいちばん高いところにいるままであなたとふたりきり真っ逆さまに落ちていけたらいいのにな

 

「裸眼」


ここはくもりガラスの中の世界、外は何も見えなくて内にいるわたしの声はきっとみんなに届かない、誰かの足音を聞きながら布団の中に篭ってばかりで、いくら喉を引っ掻いたって出るのは咳だけなんです、あのねわたし本当はねみんなに話したいことが沢山あるんだよ、うまく伝えられなくて大切なものほどこわされたくなくて宝物みたいに心の中にしまっているなんて言い訳だよね、わたしの姿は誰の目にも映らないけどいつか振り向いてほしいよ、どうかわたしの前を素通りしないで、好きになってくれなくてもいいよ、嫌いでもいいよ