あいしてるのブログ

この物語はフィクションです

青春が好きだ!

 

好きな物語のこと。わたしの胸に突き刺さる物語は思い出す度後ろめたくなるような青春を描いた物語で、性液と自意識と惰性にまみれているそれは客観的に見てもちっとも美しくはないのだけれど、物語に描かれる孤独が切実なほど心が揺さぶられてしまうような気がする。何処かが欠けていて、突き出ていて、うまくまっすぐ歩くことができないきみの、可能性にあふれているようでいて、欲しいものなんて何も無いような気がする日々。闇は一層暗く濁り、光は一層眩しく煌めく、そんな青春の物語が好きだ。

 

わたしの好む物語と同じで、現実の生にとっても、永遠に続く幸福なんてきっと何処にもなくて、人間は誰もがひとりぼっちだけど、わたしときみがつながった瞬間の記憶は一生眩しく胸の中に光っている。各々違った美しさがある青春を描くのは難しくて、投げ出したりごまかしたりしそうになるけれど、わたしはもっときちんと人間の輪郭を描きたい。心臓の震える言葉を知りたいよ。嘘ばかりの世界で生きている人間の心を現実よりもリアルな感傷で突き動かしてみたいよ。

 

最近色々な人に物語を読んでもらったり、逆に物語を読ませてもらう機会が多くなった。物語を通してその人の心を覗き見ているような居心地の悪さも感じながら、この世界には人の数だけ違うフレーバーの物語があるのだなあと驚かされる。同時にその物語がおもしろいと嫉妬したり、おもしろくないと安心したりするそのみみっちさがまさに青春と言えなくもないけれど。居心地の良い場所で留まっていることに安心する気なら、そろそろ青春から抜け出す時期なのかもしれないなと思う。もっと欲しくて、全然足りなくて、ちっとも満たされないままだとしても、手を伸ばさずには欲しいものには届かないんだよ。

 

神さまへの願いごとはたった一つ。世界にあいしてるのボールを放って誰かに受け入れられたいそれだけ。苦手な部分を伸ばしたって人並みにしかなれない。群衆の中から突き抜ける方法を探しつづけている。正解はトライアンドエラーの繰り返しを通してしか見つからない。人間を愛して、愛し抜いて、考えて受け止めて書くしかない。喜怒哀楽ありとあらゆる内的心情を青春の物語の中に注いでゆきたい、波打ち際を駆け出したくなるようなみにくい青春の衝動だけがすべてだ。

 

時間感覚が狂ってしまうほど季節が過ぎるのは早くて、一週間が過ぎるほど鈍くなってゆく気がするのは気のせいではないのだろう。週の5日は暗雲たれ込める人生なんていやだ、冬は凍える四畳半の寒さだって感情が揺れ動くなら悪くない。変えないけど、変わりたくないけど、変わりたい。勇気がないだけの停滞を好むような人間にはならないぞ。きらきらした青春が苦手な人間が、銀杏の匂いのする青春と向き合ってみせるという決意表明。ここまで読んでくれた人がいたらありがとう愛してるよ。