あいしてるのブログ

この物語はフィクションです

だばだばだ

 

「ぜったいおんなのこ」

 

何故か嫉妬していました、やっぱり嫉妬してしまいました、わたしはあなたのように歌を歌えないのに、鋭く心を突き刺す言葉も、まっすぐに人間を見つめることも、ひとりぼっちの女の子の手を繋いであげることも、すごく近くにわたしを感じることも、何にもできないのにばかみたいですね

 

あなたの涙も叫びも笑い声もすべて瞬きをする度に色が変わる照明を浴びてきらきらと光っていました、とてもまぶしかった、羨ましかった、あんなにたくさんのひとに信仰されて、あんなに近くに神さまを感じられるなんて、どうにかなってしまいたいくらい、いっそあなたなんていなくなればいいと願ってしまうくらい、わたしはあなたが憧れで羨ましくてきらいでだから大好きなんだと思います

 

2500人の中の一人でなんて終わりたくないって思いました、きみの生はきれいって言われないくらい特別になりたいって思いました、愛してるなんて言葉いらない、わたしはあなたの視線がほしい、もしかしたらガチ恋してるのかもしれません

 

だからもっとぐちゃぐちゃになりたい、めちゃくちゃ個人的な物語でばかみたいな理想を夢みてみたいと思いました、本当のことを知りたいんです、誰も言ってくれない本当のことを知りたい、痛いもさびしいも虚しいもちゃんと感じながら生きたい生きたい死にたい生きたい生きていたいんです

 

誰が何と言おうとあなたの生は最高だから

 

 

 

リストカットの代わりに」

 

全部終わってしまったのかもしれない、すごく遠くにきみを感じた、好きだったきみはもう何処にもいないのかもしれない、泡のように消えてなくなってしまったのではなく、きみは大人になってしまったということ?わたしが大人になってしまったということ?最後まであそこにいられなかったのは、神さまにお別れを言いたくなかったからだった

 

初めからわたしときみはすごく遠かったし、一度も手を触れ合わせたことだってないのに、どうしてかな、恋人よりも近くにきみを感じる瞬間があって、お父さんの叱責も先生の怒鳴り声もちっとも頭に入ってこなかったのに、どこにもいけない壊れかけの日々の中で、きみの生きろって言葉だけは覚えていたんだよ、それだけがわたしの光だったんだ


そんなふうなつながりがあったってこと自体きっときみには届かないんだろうね、知らないところで救われたからやっぱりきみはたったひとりのわたしの神さまだった


少し(かなり)さびしいけれどかたちないものも時を経れば壊れてしまう、いつかわたしがロックを聞かなくなったとしても、時折思い出すんだろうね、甘いサビの旋律とか、ペットボトルから放たれる光の粒とか、きみの輪郭をかたちづくるうつくしいものすべてのこと


さようならわたしの神さま、誰も知らないひそやかな離別を終えて