あいしてるのブログ

この物語はフィクションです

新宿は今日も雨

 

始発を待って外に出てみたら、曇り空から滴る涙のような雨が降っていました、酔っ払いが所かしらに寝転んでいる新宿歌舞伎町の風景が普段と少し違って見えました

 

今日のわたしは完全に気が狂っています

 

道端の嘔吐物にすら愛しさを覚えたり、きみがカラオケで歌っていた曲を聴いてみたり、それをうっかり良い曲だなんて思ってしまったり、永遠につづくようなひみつの夜の中で、わたしを見るきみの目を思い浮かべては、電信柱をあらん限りの力を込めて蹴り飛ばしたくなっています

 

たぶんこの気持ちは絶対に長く続かないからこそ、きっと今この瞬間にしか感じることのできないからこそ、誰にもきっと正確には伝えることのできないからこそ、ゴールデン街の浮かれた外国人の騒音を、新宿三丁目のネオンきらめく夜を、ネットカフェの密やかな囁き声を、わたしだけがずっと覚えていられたらいいのに

 

高揚し、浮遊し、闇の中に発光するような恋を、やはり恋をしているのかもしれません

 

わたしは物語がはじまる前からおわりのことを考えてしまう人間で、それでもがまんできずに物語を紡いでしまう人間だから、きっとどんなに傷つけても傷つけられても懲りずにきみに手を伸ばしてしまうでしょう、ばかで、ぐずで、学習能力のないわたしだから

 

人を好きになるのはこわいし、人をかわいいと思うことは苦しいし、人をほしいと感じるのは危ないし、でもそんなわたしが、こんなわたしが、きみのことを幸せにしたいと願うのはやっぱりいけないことでしょうか

 

新宿は今日も雨